研究内容

本研究室で現在取り組んでいるあるいは過去に取り組んだ研究テーマについて簡単に紹介します。詳しい解説では発表論文の関係を述べます。そこでの文献番号は「主な研究論文」で示した論文リストの番号に対応しています。

廃炉地盤工学の地下水環境評価・予測

 福島第一原子力発電所の廃止措置に対して、実効性の高い技術に基づき実現するため、高放射線環境等原子力特有の条件を地盤工学に融合した廃炉地盤工学を地盤工学会で提案し、文部科学省から「福島第一原子力発電所構内環境評価・デブリ取出しから廃炉までを想定した地盤工学的新技術開発と人材育成プログラム」を受託しました。当研究室ではこの受託業務の受け、「現状から廃止措置までの長期間の地下水環境・作業環境の状況調査と将来予測」を目的に、基礎的室内実験や現場実験、さらにそれらの数値解析を行っています。

上載荷重や近接施工に伴うトンネルへの影響評価

 一般にトンネルは、NATM工法で知られる山岳トンネルとシールド工法で知られる都市トンネルがあります。両者は地盤内に空洞を造るものであるが、どちらの施工法を選択するのか、その理由などは明らかになっていません。それは、両者の設計法が異なっており、現在の設計法で根本となるトンネルに担保させる荷重の評価法が異なるため、実務の現場で混乱が起きています。このようなことから、統一的な考え方に基づく設計法の確立が望まれています。特に大深度トンネルの建設を対象に、境界条件の変化がトンネル土圧に及ぼす影響を把握するため、弾塑性解析およびアルミ棒積層体の2次元試験機を用いて、数値解析とモデル実験の両方から検討しています。また、現場施工データの数値シミュレーションも目標に挙げています。

河川堤防の湿潤破壊に対する確率論的評価

 河川堤防は河川の氾濫を防ぐために作られた構造物であるが、地形、地質、災害パターン等の不確定性に加え、嵩上げや腹付け等の補強が繰り返されており、安全性評価に不確定性を評価することが重要となります。特に、破堤リスクが高い堤体からの維持・補修計画などに利用するため、河川水位上昇や豪雨などを考慮した堤体の浸透流解析結果をもとにした確率論的安定性評価を行っています。これらの結果である堤体斜面リスクを、補修計画へフィードバックすることを目指しています。

杭基礎の挙動予測

 構造物を支える杭基礎は、構造物の荷重を支えることだけでなく変位の予測も重要となります。杭はコンクリートや鋼管などの材料と種々の施工法が組合わさり、さらに地盤との相互作用もあって複雑な挙動を示します。これらの挙動を予測する解析モデルはいくとか提案されていますが、新しい材料や施工法に対して載荷実験が行われることが多いのが現状です。そこで、これらの載荷実験のデータを用いて、提案されている解析モデルや設計法の妥当性を検討しています。さらに、種々の不確定性を確率論的に評価し、設計法に結び付けていくように計画しています。

補強土の支持力評価

 直接基礎構造物を構築するとき、地盤が軟弱なときには地盤改良工法や補強土工法などが用いられています。これらの工法は極限支持力や沈下量に影響を与えます。ここでは、ジオテキスタイルを対象として、設置場所、形状、物性値などが与える影響を把握するため、弾塑性解析およびアルミ棒積層体の2次元試験機を用いて、数値解析とモデル実験の両方から検討しています。

土留め掘削の安定性評価

 都市土木では掘削工事に伴うトラブルが多く、大半が地下水が問題となっています。このような掘削に伴う土留め壁と掘削地盤の安定性を水-土連成弾塑性有限要素解析により予測評価することを目指しています。特に、掘削底面の地盤改良などの効果も検討していきたいと思っています。

その他

 近年、構造物設計法が性能設計へ向かっています。これは、従来の仕様設計から構造物の性能を規定し、その照査の自由度を確保しようとする設計体系であります。大別して、欧州からの国際標準化と北米からの耐震性能の2つの流れがあります。わが国では、阪神大震災、東日本大震災を経験し、構造物の設計基準を改定するときの後者の流れの影響が大きいようです。しかし、ISOをはじめとする国際標準は構造物の安全性や使用性の余裕を確率論的に記述するようになっているため、性能規定による設計コード構築の研究も行っています。

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